狭間09:『稀書流出』


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狭間09:『稀書流出』

 吹利大学名誉教授の木村滋(きむら・しげる)が老衰死したところ、その遺産を管理していた弁護士が轢き逃げされ、公開直前だった遺言書も紛失した。この事件を捜査していたところ研究者の遺産の稀覯本が紛失したとの届けがあり、そのうちの一冊『チャチャ・コタンの習俗』が非常に危険な書物であるとわかった捜査一課から、捜査零課に仕事が回ってきた。

チャチャ・コタン・の・しゅうぞく
チャチャ・コタンの習俗《稀覯本》
 チャチャとは爺、コタンは村。総体としてチャチャ・コタンとは古くからの村の意味。
 稀覯本『チャチャ・コタンの習俗』は、江戸末期の記録を元にアイヌの聞き取り調査を行い、アイヌの古伝承や儀礼を収拾したもので、わずか30部が作成され研究者に配布されたのみの本である。
 オレプン・カムイ(津波の神)の力とその召喚方法などが書かれており、十三湊を滅ぼしたのはこの儀式の結果であるとの説もある。
 1996年10月時点では吹利大学図書館、吹利県立民俗学博物館に所蔵されているのが確認されている。
オレプン・カムイ《神名》
 アイヌの津波の神。直訳すると尻が沖についている神となる。
 チャチャ・コタンの習俗にはこの神を招来して使役する儀式に関する記述があると言われる。

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