今日は十六夜。満月よりは、控えめな。これから消え行く月。 昨日、満月を見た。ベーカリーに来ていたみんなとおだんごをたべた。 そのあと、かけるさんや向坂さんの冗談真に受けて、泣いて帰ってきっちゃっ たもんなぁ……失敗。 あの、吸い込まれそうな光に、なんか、酔っ払っちゃったのかも。 月になんて行く訳ないのにね。 普通に考えたら、今の日本、そんな簡単には死なないもん。 ……でも…… 私は、いつか、死ぬのかも。 もちろん、いつかはおばあさんになって、死んじゃうんだから、あたりまえ な事だけど。 私、普通じゃない……から……。記憶喪失で、役所や警察にも届けられてな くて、変な組織に狙われている。そんな、変な奴だから。 だから、普通じゃない死に方するのかも……。 どんな事だか、今の私じゃ想像できない。 私が死んだら、悲しむって言ってくれた人がいるんだ。 だから、私は簡単には死なない。死ねない。 でも、どうしても死ななきゃいけないその時は、ずっと一緒に来てくれる人 の手を振り払ってでも、一人でいかなきゃ駄目だよね……。 今まで守ってもらって、きっとこれからも守ってもらっちゃう。 自分独りで生きていけるように、その人と一緒に歩けるように、もっと強く ならなくちゃ。 そんな、悲しんでくれる人、手を差し伸べてくれる人、そばにいてくれる人へ 私は、死なないように、死なないですむようにがんばります。 でも、それでも死ななくちゃいけなくなったら、どうか皆さん、泣かないで。 十六夜に願う、私のただ一つの願い。
「かぐや姫にはなりたくない」の次の日。
十六夜の月を見上げ、美都が一人思う。
今まで“今”しか見なかった少女は、満月に魅せられて“いつか”を見るよ うになった。
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